新型コロナウィルス感染症防止の為、今年度の秋彼岸会法要も20日(月・祝)・21(火)の午前午後、計4回執り行わせていただきました。
昨年から、ご参詣には幾つかの制限を設けさせていただきながらの法要ですが、皆さまにはご理解ご協力を賜り、心から感謝申し上げます?

お彼岸について】
  お彼岸には、春のお彼岸と秋のお彼岸があり、それぞれ春分の日と秋分の日を「お中日」として、前後3日間を合わせた7日間を「彼岸会」といいます。
彼岸という言葉は、インドの古い言葉「パ-ラミタ-(波羅蜜 はらみつ)」に由来するといわれています。
この言葉は、「彼岸にいたる」「完成」を意味します。
私たちの住んでる悩み多き世界を「此岸 しがん」と呼び、川をはさんで反対側の岸、仏様の住む悟りの世界を「彼岸」と呼びます。
このように「彼岸」という言葉は、インドで古くから使われていますが、「彼岸会」という法要は、インドでは行われていなく、禅宗が誕生した中国でも、法要が行われた記録がなく、
日本独特の仏教行事だそうです。
日本では昔から米や野菜をつくってきました。大自然、特に大陽の恵みが重要でした。そのため、太陽を大切に思い、拝むようになり、豊作や農作業の安全を祈ってきました。
さらに、春分・秋分の日は、太陽が真東から昇って真西に沈みます。そうした1年に2回しかない太陽の動きに対して、おそれうやまう気持ちもありました。
また、太陽の沈む真西は、仏さまの世界、彼岸であるという考え方が仏教にはあります。そこには多くのご先祖さまもいらっしゃると考えられていました。ですから、この太陽が真西に
沈む時期に太陽を拝めば、まっすぐ仏さまの世界を拝むことができる。また、仏さまとの距離が最も近くなると考えたのです。
このように、日本人が古くから持っている太陽に対する信仰と、祖先をまつる信仰が合わさって、日本独特の仏教行事になったといわれています。このような行事の例は、初詣や節分の
豆まきなどにも見られます。彼岸会法要を通して、そうした日本の仏教について考えてみるのもよいかも知れません。
また、ご先祖さまにあらためて感謝の気持ちを伝え、お墓参りをして心静かに手を合わせ、いま生かされているいのちに感謝する期間となりますように。     「禅の友9月号より」